おはようございます.
シルヴァーマン『はじめての数論』の演習問題の続きをやっていきます.
今回やるのは Exercise6.6(f) です.
問f
問題文
この問題を一般化して3項の和 $ax+by+cz$ かつ $x \geq 0$, $y \geq 0$, $z \geq 0$ としてみよ.たとえば,負でない整数 $x,y,z$ に関して $6x+10y+15z$ の形には表せない最大の整数は何であるか?
回答
一般的に解きなさいという問題ではなく,$6x+10y+15z$ についてだけ解けば十分なようですね.
ではお言葉に甘えて具体例だけ考察していきましょう.
記号の定義など
まず $ax+by+cz$ $(x \geq 0$, $y \geq 0$, $z \geq 0)$ とかいう面倒な書き方をそろそろやめましょう.
どういう記法がわかりやすいでしょうか.
ここではとりあえずイデアル表記に倣います.
$\mathbb{N}$ を自然数,つまり0以上の整数全体とします.$0$ はここでは自然数だとするわけです.
そうしておいて,$\mathbb{N}$ に対して整数倍と足し算を定義しましょう.
正の整数 $a>0$ に対して,$a \mathbb{N} = \{ an \mid n \in \mathbb{N} \}$ と定義します.
さらに $a,b > 0$ に対して $a \mathbb{N} + b \mathbb{N} = \{ z + w \mid z \in a \mathbb{N}, w \in b \mathbb{N} \}$ とします.
この記号によれば,前回までに得られた結果は次のように述べることができます.
大幅にわかりやすくなったかと思います.
計算をする
あとは $6 \mathbb{N} + 10 \mathbb{N} + 15 \mathbb{N}$ を計算すればよいだけです.
実際に実行するとこんな感じになります.
特筆すべきところは,くくり出しの順序によらず同じ $30 + \mathbb{N}$ が出てくるところですね.
等号で変形しているわけではなく,途中で何か情報が落ちていてもおかしくないのに,どうやっても同じ結論が出てくるということはそれがきっと答えなのでしょう.
それを確かめるには,$29$ が含まれているかチェックすればよいです.
含まれていませんでした.したがって,答えは $29$ です.
感想とまとめ
一般の場合では考察しないの?と言われてしまいそうですが,この問題はそんなに難しくないんじゃないかという気がするので,スルーします.
それにしてもいい問題でした.