大学の学部生だったころ、宮崎修一という先生の授業を受けたが、あれは私が計算機科学をおもしろいと思うきっかけだったと思う。あの先生は本当に授業が上手だった。
聴衆にどんどん参加させるタイプの授業だった。定期的にスライドを止めて「これはどうなるだろうか」と質問したり、ちょっとした演習問題を用意して解かせてみたり。私がここで文章で説明しても1ミリもおもしろさが伝わらないので、YouTubeに授業動画があればいいなと思ったけれどなかったので想像で補ってほしい。あの先生の授業では30人くらいの学生が毎回わいわい発言していて、盛り上がっていた。
「クイズ形式にすれば聴衆も参加できるから盛り上がるよね」というのは当たり前に見えるけれども安易な発想で、実際には必ずしも盛り上がらない。「…ふ、ふーん」みたいな寒い反応で終わることもよくある。クイズって、「解けたら偉い、解けないとダメ」とか「これすごいでしょ(自慢)」みたいな良くない雰囲気が漂いやすくて難しいと思う。そのあたりは宮崎先生が工夫されていたんだと思う。
私はあの授業に出て計算機科学がすごく好きになった。それまではそういう分野があることも把握していなかったから、こんなのも数学なんだなと思って楽しかった。
そこで計算機科学に触れたにも関わらず、私はそのあと整数論の勉強をメインでやることになるのだけど、結局院では計算機科学をやることになるし、今では Lean にハマっているのでなんだかんだで計算機科学への気持ちは残っているんだなと思う。