パンの木を植えて

主として数学の話をするブログ

集合の圏についてのメモ

\[ %%% 黒板太字 %%% \newcommand{\A}{\mathbb{A}} %アフィン空間 \newcommand{\C}{\mathbb{C}} %複素数 \newcommand{\F}{\mathbb{F}} %有限体 \newcommand{\N}{\mathbb{N}} %自然数 \newcommand{\Q}{\mathbb{Q}} %有理数 \newcommand{\R}{\mathbb{R}} %実数 \newcommand{\Z}{\mathbb{Z}} %整数 %%% 2項演算 %%% \newcommand{\f}[2]{ \frac{#1}{#2} } \]

ふと思った疑問をメモします.初学者の疑問なので詳しい人が見たらすぐ解決できるかもしれませんが.


我々は圏論を習う前から集合を考えることがあるわけですが,圏論を習った後で振り返って,「あれは集合の圏を考えていたんだな」と思うわけです.

ただし集合の圏とは,射が写像で,対象が集合であるような例の圏のことを指します.

これは一見正しそうなのですが,しかし「圏論では同型なものは同じとみなす」のでした.集合の圏での同型とは全単射があることと同値です.我々が集合を扱っているとき,「全単射があれば同じ」とみなしていたでしょうか?

そんなことはないですね.濃度にしか興味がないならそれでいいですが….

射を変えて「包含関係を射とする」と決めれば同型はイコールになりますが,そうすると今度は射が少なすぎます.包含関係がない集合の間に射がないのはちょっとまずいですね.デカルト積が直積にならないので,それも困ります.


どういうことかというと,我々は集合を考えているとき,かなり元を気にしているんじゃないかということです.

集合論ベースの基礎論を圏論で書き換えることができるという話をどこかで聞いて「まあそれもできるだろうな」と昔思っていましたが,元を気にせずに議論するなんて一貫してできるのでしょうか.射 a → X を X の元だとみなすという抜け道がないこともないですが,そんなことしたら圏論を使ってるうま味はないような気がします.


集合の圏での同型がなんか「弱すぎる」気がするというのは別に大したことではないのですが,最初に学んだ時に違和感を感じて以来,全然解決していないのでここに書いておきます.