パンの木を植えて

主として数学の話をするブログ

NNG4 終了

\[ %%% 黒板太字 %%% \newcommand{\A}{\mathbb{A}} %アフィン空間 \newcommand{\C}{\mathbb{C}} %複素数 \newcommand{\F}{\mathbb{F}} %有限体 \newcommand{\N}{\mathbb{N}} %自然数 \newcommand{\Q}{\mathbb{Q}} %有理数 \newcommand{\R}{\mathbb{R}} %実数 \newcommand{\Z}{\mathbb{Z}} %整数 %%% 2項演算 %%% \newcommand{\f}[2]{ \frac{#1}{#2} } \]

急にモチベが再燃してきて進めていた,Lean 4 版の Natural Number Game が終わりました.

(Natural Number Game とは,Lean という定理証明ができるプログラミング言語の使い方が学べる,ブラウザゲームです)

https://adam.math.hhu.de/#/g/hhu-adam/NNG4

楽しかったんですが,ちょっと人には勧めにくいかもしれません.

  • UI に未実装の部分があって,タクティックや補題の内容を見ようとしても missing としか表示されないことがある.VSCode を使わせてくれ~という気持ちになる.GitPod 等で代替できたらそちらのほうが実装も楽でいいかもしれない.

  • 教育的な制限がかかっていて,未開放のタクティックを使用するとエラーにされてしまう.使える道具が少なすぎて面倒な手順を踏まないといけないため,「Lean は面倒なもの」という印象にならないか心配

  • 数学にあまり慣れていない人だと,「ペアノの公理から整数の掛け算が可換であることを示す」というような課題の意味がわからないかもしれない.ますます「Lean を使っても面倒の末に虚無命題が示せるだけ」みたいな印象になってしまいそうで怖い.数学に慣れてる人でも,示している主張が地味なので物足りない感じがする

題材が圏論だったら,数学科のひとにもっと勧められたかもしれないですね.

もちろん良いところもありました:

  • Lean による定理証明の良いチュートリアルになっている.いきなり基礎になっている型理論を勉強したりすると大変.少しずつ無理なく使い方が覚えられるという点で,すごく良い

  • NNG4 は,Natural Number Game 以外の Lean Game を作るのにも使えるようになっていて,今後これをもとに新たなゲームが生まれるかもしれない.NNG4 を作ったのは偉業だと思う.

個人的にはNNG4は今後も Lean のチュートリアルとして使われ続けるだろう傑作だと思うのですが,代替となるチュートリアルがあるといいですね.