パンの木を植えて

数学の話をしたり,しなかったりする日記

$\log p$ の逆数和 - Ex5.3

\[ %%% 黒板太字 %%% \newcommand{\A}{\mathbb{A}} %アフィン空間 \newcommand{\C}{\mathbb{C}} %複素数 \newcommand{\F}{\mathbb{F}} %有限体 \newcommand{\N}{\mathbb{N}} %自然数 \newcommand{\Q}{\mathbb{Q}} %有理数 \newcommand{\R}{\mathbb{R}} %実数 \newcommand{\Z}{\mathbb{Z}} %整数 %%% 2項演算 %%% \newcommand{\f}[2]{ \frac{#1}{#2} } \]

最近,UHAのグミサプリが気に入っていて,お菓子気分でボリボリだべています.

シンプルにうまいです.良い感じに酸っぱい.

錠剤の形をしていると医薬品に見えてしまうので,医薬品との違いを明確にするという意味でもいいかも.


それはそうとして,Shoup『A Computational Introduction to Number Theory』の演習問題をやっていきます.

なお書影を出すためにAmazonの商品ページにリンクを貼っていますが,この本は著者により無料公開されています.興味のある方はぜひどうぞ!

今回やるのは演習問題5.3です.

\[ %%% 黒板太字 %%% \newcommand{\R}{\mathbb{R}} \newcommand{\C}{\mathbb{C}} \newcommand{\Q}{\mathbb{Q}} \newcommand{\Z}{\mathbb{Z}} \newcommand{\F}{\mathbb{F}} \newcommand{\N}{\mathbb{N}} %%% カリグラフィー %%% \newcommand{\calf}{\mathcal{F} } \newcommand{\calg}{\mathcal{G} } %%% 引数を取るもの %%% \newcommand{\f}[2]{ \frac{#1}{#2} } \newcommand{\im}{\operatorname{im} } \]

問題文とその解説

Show that $\sum_{p \leq x} 1/ \log p = \Theta (x / (\log x)^ 2)$.


シンプルな問題です.漸近評価

$$ \sum_{p \leq x} 1/ \log p = \Theta (x / (\log x)^ 2) $$

を示せという問題ですね.

本書では素数定理の弱い形である $\pi(x) = \Theta(x/ \log x)$ は既に証明していますので,それを使っていけということでしょう.

また,既にチェビシェフのシータ関数 $\theta(x) = \sum_{p \leq x} \log p$ が $\theta(x) = \Theta(x)$ という漸近評価を持つことも示しましたので,それを使ってもいいですね.


回答

与えられた関数を $ψ(x)$ としておきましょう.つまり $ψ(x) = \sum_{p \leq x} 1/\log p$ です.


下界

上界と下界を別々に示します.まずは下界から.

まず最初に思いつく不等式評価 $\log p \leq \log x$ を用いることにより

$$ \psi(x) \geq \frac{\pi(x)}{\log x} $$

を得ます.チェビシェフの定理により $\pi(x) = \Omega(x/\log x)$ なので,$ψ(x) = \Omega(x/(\log x)^ 2)$ です.

下界の証明はあっさり終わってしまいました.


上界

この調子で上界の証明もさくさくやっていきましょう!……と言いたいところですが,上界はちょっと難しかったです.

シータ関数 $θ(x)$ の評価をうまく使えないか試行錯誤しましたが,失敗.

数学的帰納法で示すというアイデアも頓挫しました.


最終的に $\sqrt{x}$ より大きいか小さいかで区切るというアイデアを試したところ,これが正解でした.

実際にやると

$$ ψ(x) - ψ(\sqrt{x}) \leq \frac{2}{\log x} \cdot ( \pi(x) - \pi(\sqrt{x}) ) $$

という不等式が得られます.

$\pi(\sqrt{x})/ \pi(x)$ は $x$ が大きいときにはゼロに収束します.したがって

$$ ψ(x) - ψ(\sqrt{x}) = O(x/ (\log x)^ 2) $$

であります.

ここで $\log p \geq \log 2$ という自明な評価を使えば $\psi(\sqrt{x}) = O(\sqrt{x} / \log x)$ が示せるので,特に $\psi(\sqrt{x}) = O(x/ (\log x)^ 2)$ でもあります.

ゆえに $ψ(x) = O(x/(\log x)^ 2)$ が結論できます.


感想

「難しいなぁ」と思って悩んでいたんですが,いろいろいじっているうちにできました.

$ψ(\sqrt{x})$ が結構小さいということに気づくのに時間がかかってしまって,当たり前のことに苦しんでいたのでちょっと反省しています.