latest update: 2022.03.01
大学院を卒業し,春から企業で勤めることになった.
それに伴い,住み慣れた田舎を去ることになる.
これは,私の初めての引っ越しの体験記である.
γ 月 α 日
勤め先までは,電車で1時間強.
下宿するかどうか迷う距離である.実際すごく迷った.
しかし「迷うくらいなら一人暮らしした方がいいよ」と異口同音に言われて一人暮らしすることに決めた.
そこでまず家族に相談.『一人暮らしはこれで安心!』みたいな本を渡される.読んでみると,早いうちから物件を探した方がいいよと書いてあったので,行動を起こすことに.
とりあえず,入社予定の会社のひとに話を聞いてみることにする.メールで相談したところ,相談の場を設けてもらえた.親切だ.
先輩が実際に住んでいる物件のことなどを話してくれた.なかなか良さそう.
β 月 φ 日
ネットで物件を検索してみることにする.
「実際に見ないとわからないよね」と思い,思い切って内見の申し込みをする.複数の物件に対して申し込みをした.
そのうちの1つからは,申し込みの数秒後に電話がかかってきた.電話先で「他の不動産仲介業者はダメだ,うちにしなさい」と迫ってきてとても不愉快だった.すぐにメールで「営業の圧が強すぎる.内見の予約はキャンセルしてくれ」という意思をオブラートに包んだ文章をしたため,送信.
返事は来なかった.どうせ来ないやつには返信するのももったいないと考えたのだろうか.
μ 月 π 日
不動産仲介業者の店舗に出向いて,店のひとと相談をする.
担当者の τ さんはとても親切で話しやすいひとだった.好印象を抱く.
先輩が話していた物件が良さそうだったので,そこを含めた複数の物件の内見をすることになった.
物件情報サイトでいいなと思った部屋があったが,τ さんによると「タッチの差で先に成約されてしまった」らしく,同じ建物の他の部屋を内見.
すこし家賃が高くなるものの,実際に見た印象も良かったのでそこにしようと決める.
τ さんの話から,迷ってるうちに誰かに先を越されたらどうしようと不安な気持ちになっていたことと,
その日は不動産仲介業者との用事の後に別の用事を入れてしまっていたということもあり,
その日のうちに急いで部屋を押さえる手続きを済ませた.
Σ 月 γ 日
仲介手数料はすぐに振り込まないといけないと言われたので,仲介業者に仲介手数料を振り込む.
家賃の1カ月分 + 税 を請求されたが,これが一般的だと聞いていたので特に考えることなく払った.
π 月 σ 日
フリーダイヤルから電話がかかってくる.
電話口の相手はライフラインをいい感じにする業者だと名乗った.電気や水の手続きだろう.仲介業者の方から話は聞いていたので,すべての質問にYESと答えておく.よくわからないが,YESと答えておけばいい感じにしてくれるんだろう.
N 月 ν 日
不明点が結構あったので,数日前に担当者に問い合わせていた.しかし返事がまだ来ていない.
とても不安になるが,「担当者の τ は体調不良で休んでいる」という連絡が来て少しほっとする.
β 月 α 日
またフリーダイヤルから電話がかかってくる.
今度の相手もライフラインの業者だった.電気のことで,この電力会社と契約するのがオススメだから契約しましょうねという案内だった.
ここで初めて不信感を抱く.なぜ入れ替わり立ち代わりいろんな業者が現れるのだろうか?もしかしてカモにされているのでは?という直感がはたらいた.
電話口の相手に社名を訊いてみた.検索してみると,詐欺業者です! というクチコミ多数.仲介業者を信用してはいけないことにようやく気づく.
さすがに「詐欺ですよね?」とはいえず,「電気については自分で契約しますから」と言って断る.
η 月 ε 日
おとり物件のことを知り,自分が引っかかったことに気づく.
やっぱり急いで契約を済ませるのはよくないなあという教訓が得られた.
とりあえず,次に大事な手続きをするときは,絶対にその後に予定を入れないでおこうと肝に銘じた.
M 月 μ 日
また電話がかかってくる.誰かが私の個人情報を流しまくっているらしい.
相手はウォーターサーバ―を設置しませんかと勧誘してきた.電話口で話を進めるよう圧をかけてきたが,「少し考えさせてください」と言って切り,ネットで社名などを検索.案の定黒だったので,再び掛かってきた電話で「必要ありません」と断る.
М 月 N 日
店舗に出向いて,重要事項説明と契約書類の作成をする.
担当者の τ さんがいることを期待したが,まだ体調不良で休んでいるとのこと.不審に思って問いただすと,コロナ陽性 だったらしい.
つまりこの仲介業者は,担当者がコロナ陽性なのに客に隠していたことになる.もっと早く言ってくれ.
契約は,書類が多かったが店員に訊いて確認しながら行った.
契約の最後で「わたしは宅建証を確認しました」にサインを要求されたので,店員に「宅建証を見せてくれ」と言ったら,店員が「用意してませんでした」と慌てだした.いや用意しとけよ.
δ 月 π 日
引っ越しの契約が終わり,なんとなく引っ越し先の管理会社のクチコミを調べる.
なんと,最悪だった!
退去時にぼったくられるらしい.なんてこった!
とりあえず紹介してくれた先輩はまだご存じないようだったので,この重大ニュースを共有しておいたが……さて,こういうときどうすればいい?
さすがに不安になっていろいろと調べる.賃貸トラブルお助け隊というNPO法人の存在を知る.このNPOが信用できるかどうかはともかく,いまは少しでも情報が欲しい.
ざっとお助け隊の記事を見たところ,どうやら仲介手数料も家賃 0.5 カ月分までしか払わなくて良かったらしい.指定された家賃保証会社も,併せて調べたところクチコミは芳しくない.それに少し割高な気がする.火災保険についても,推奨されてるやつのクチコミを調べるとやっぱり大不評.
どうやらまだまだ頑張らないといけないらしい.
とりあえず「やり取りの記録をとりましょう.電話よりメールの方が良い」とお助け隊のひとが書いていたので,それに従うことに.
某評判最悪の管理会社から来た書類には連絡先のメールアドレスが当然のように抜け落ちていたので,電話をかけて担当者のメールアドレスを聞き出す.
火災保険のプランを変更できるかどうか,メールで問い合わせてみる.
β 月 ξ 日
水道と電気の手続きをする.
不動産業者の息のかかった連中の勧誘を断ったため,電力会社には自分で申し込みをしないといけない.
まずは水道.これはプランが一択なので特に悩む余地はない.
重要事項説明書を見ると,***市の水道局に連絡すればいいらしい.
重要事項説明書には「電話で連絡してくれ」と書いてあったが,調べたところネットで手続きができるようだった.なあんだ.
さて電気であるが.
電力自由化で選択しないといけなくなった.
不動産仲介業者とグルの代理店からは δ 電気を強く推されていた.確かに δ 電気はスタンダードなものに比べて安かったが,調べてみると「前もって伝えているのに通電しない」「対応がひどい」という不評の嵐だった.そもそも通電しない って……そんなことある?
ドン引きしたので,やはり新電力ではなくてスタンダードなやつにすることにした.
実家と同じ α 電力.
支払方法で口座振替とクレジットと両方選択できるのだけど,私がいつも使ってる銀行の講座は α 電力の口座振替には使えないっぽかったので,クレジットカードを作る必要が生じることがわかった.
カード作るのって大変そう.スケジュール大丈夫かな.
F 月 π 日
火災保険について,管理会社と不動産仲介業者の双方に問い合わせていたのだが,返事が帰ってきた.
仲介業者は「借家人賠償 ***万円,個人賠償が ▽▽万円あればなんでもいいよ」
管理会社のひとは「借家人賠償 ***万円であればなんでもいいよ」と答えてきた.
……あれ,ちょっと答えが食い違ってる?
用語を調べてみよう.調べてみると,説明しているページが見つかった.
https://www.homes.co.jp/cont/rent/rent_00229/
このページによると,借家人賠償というのは,大家さんに対する 損害賠償責任補償のことのようだ.
対して個人賠償とは
日常生活の中で起こった「他人にケガをさせてしまった」「他人の物を壊してしまった」などによって損害賠償しなければならない場合に備える補償です
とのこと.なるほど!
だから,管理会社の言ってることがおそらく正しいのだろう.管理会社としては,私が個人賠償できなくても気にならないはずだから.
管理会社と契約する時に,最初の月の家賃と同時に保険金を払うよう要求されて払ったのだけど,「なんでまだ保険の契約をしてないのに保険金を要求されるんだろう?」と不審に思っていた.そのお金も返ってくるようだ.
それは家賃に充当してもらうことにした.
さて,あとは火災保険を選ぶだけ.
大学のとき大学生協にすごくお世話になったので,生協にしようかな.
生協のサイトにアクセスし,借家人賠償 ***万円という条件を入力してみたところ__掛け金が年にして 1/4 くらいになるらしい!やったぜガハハ.
ところで生協ってどうやら住まい探しもやってるらしいことを今知ったけど.じゃあ最初から生協にすれば良かったかなぁ…….
とりあえず生協に資料請求をすることに.
……が,やってきたメールを見ると「資料が届くまでに1~2週間の時間をいただきます」とあるではありませんか.そんなに時間がかかったら困る!
今月の下旬までに仲介業者に保険に入ったことを証明する文書を送らないといけないのに,1週間もかかってたらギリギリだ.
実際に生協の店舗に行き,資料をもぎ取ってくるしかない.店舗のサポートデスクに人がいる時間を調べておく.明日行くことにしたい.
Δ 月 μ 日
実家の最寄りの生協店舗に電話をかけて訊いてみたところ,実家の近くの生協店舗に行ったのではダメらしい.
引っ越し先のの生協の組合員になって,そこで手続きをしないといけないというお話だった.
うーむ.それはそうか…….引っ越し先の生協なんて知らないんだけど.調べてもよくわからない.
調べてみたところ,どうも食べ物の宅配の話ばかり出てくるので生協の共済はやめて,全労済の住まいる共済にすることに.全労済も生協もどちらもCOOPだが,別物であるようだ.
ネットで見積もりをし,いい感じだったので契約することにする.
保障内容については迷ったが,家財保障と借家人賠償***円だけの安価なものにした.
ネットで手続きをすると資料が届くのが3週間後だと言われた.それでは遅いので店舗に行くことにする.引っ越し先の店舗でなければならないということはなく,実家の近くの店舗に行けばよいようだ.便利.
手続きを済ませて掛金を支払い,不動産仲介業者に控え書類の写しを送るところまで済ませた.これで火災保険の手続きはほぼ終わり.ヨシ!
β 月 Ψ 日
某評判最悪の管理会社のクチコミをよくよく読み返す.
退去時に費用をふっかけられるという評判が多い.
賃貸トラブルお助け隊のHPを見てみると,どうやら契約書に「退去時の費用をどうやって計算するか」が書かれているそうだ.
やっべぇ…よく確認もせずに契約しちまった….
契約書の重要事項説明の際に,どうでもいいことを先に説明して重要なことは後回しにし,こっちが疲れて「あーはいはい」とスルーするように仕向けられたっぽい.ちくしょう悪徳仲介業者め.
しかも,あの仲介業者は私が物件を決めた段階で,まだ契約が終わってないのに仲介手数料を取っていたので,契約時に不利な条件に気づいたとしてもキャンセルしづらいんだよ.やっぱり仲介手数料を払わされた時点で罠だったようだな.また賢くなってしまった.
Δ 月 Ψ 日
転出届を出さないといけない.
郵送でもできるらしいが,よくわからなかったので実際に役所まで行ってお手続きをした.
こういうお役所の手続きは騙される心配がないので安心する.
……というか,部屋探しと引っ越しの時以外は,だいたい店のひとのいうことに従っていればそれなりにいい感じにしてくれる気がするんだけど….なぜ不動産はこうも闇なのか.
S 月 Σ 日
このあいだ,こんなことを書いた.
管理会社と契約する時に,最初の月の家賃と同時に保険金を払うよう要求されて払ったのだけど,「なんでまだ保険の契約をしてないのに保険金を要求されるんだろう?」と不審に思っていた.そのお金も返ってくるようだ.
しかし家賃保証会社から送られてきた書面には,過払い保険金の分が反映されていなかった!
不動産仲介業者と管理会社の双方にメールで問い合わせてみたが,「ウチは知らない.家賃保証会社に訊いてみて」と言われてしまった.
そこで家賃保証会社に電話で(メールアドレスが書かれていなかった)問い合わせようとしたが,ずっと話し中でいっこうに繋がらない.
「あーあ,なんてこった.こんなことなら過払い金は振込で返してもらっておけばよかった」と思ったが,辛抱強く話し中のまま待機し続けていると,電話がつながった.
いわく,送られてきた書面には変更前の契約内容が書かれているだけで,きちんと反映されているとのこと.
よかった.
管理会社の指定した家賃保証会社はクレジットカードの会社だったため,「うちのカードを作れば,ポイントが貯まってお得だよ」と言ってきた.調べた限り,そのカードのクチコミはあまりよくはなく,
問い合わせをしても対応が遅い.カードが不正利用されてこっちは急いでるのに,ちんたらしている!
特典もほぼ皆無に等しい
というさんざんな評判だった.しかし,普段の買い物や通販に使わず,家賃を払うことだけに特化するのであれば問題はないかもしれない.ポイント還元率はあまり高くないので,別に加入しなくてもよいが……どうしようか?
公共料金も払えるなら使ってもいいかな~と考えたが,よく調べたら公共料金は既に持っているVISAのカードで払えるようだ.それなら要らないかなと思い,クレジットカードには申し込みしないことに.普段使わない家賃のためだけのカードを持つのには抵抗がある.
М 月 A 日
いよいよ入居日が近づいてきた.
不動産ジャパンという情報サイトで,入居日にやることを確認しておく.部屋の現況確認をしておくべきらしい.そのためのチェックリストも用意されていた.
あと,後で家具を入れる都合上,部屋の寸法もしっかり測っておかないといけない.
まとめると,当日にやるべきことは以下の3つに集約されそう.
不動産ジャパンのチェックリストに従って現況を把握.汚れや傷があれば管理会社に報告し,退去時に請求されないようにお願いしておく.
間取りを把握.洗濯機置き場や冷蔵庫置き場のサイズを正確に測っておき,スムーズに家具を搬入できるようにする.
(これは後回しでよい)どういう家具を置くか,調査して計画を作っておく.間取りの計画がないと,行き当たりばったりになってしまう.
家具を選ぶのが後回しなのは,入居日から仕事始めまでかなりの時間的余裕があるからである.悪徳業者にせかされてバカ正直に早めに入居したのが,かえって良かったのかもしれない.
あと
転入届を出す(マイナンバーカードと暗証番号が要る)
という仕事もあるのだが,これは急を要するものではないのでしばらく放置しようと思う.確か入居から14日間の猶予があったはずだ.
Φ 月 Π 日
いよいよ入居の日となった.不動産仲介業者の元へ出向き,鍵を受けとる.
そしてその足で引っ越し先へ向かう.現況確認と間取りの確認をした.
大変だった.3時間くらいかかった.
いろいろしんどいことはあったけど,達成感が湧いてきた.鍵を回すと扉が開く,スイッチを入れると電気が点く,そんな当たり前のことにいちいち嬉しくなってしまう.
実は「入居前からある傷や汚れを確認して郵送せよ」という内容の書類を受け取っていたのだが,署名捺印の欄があるのが気にかかる.これに署名すると,後から「チェックリストに書かれていないんだから,その時は新品だったということだな?」と難癖をつけられる気がする.書類は返送せずに,現況確認の概要だけメールで送ることにする.これは賃貸トラブル助け隊のアドバイス通りの行動だから,たぶん大丈夫…….
今後も悪徳業者や悪いおとなたちがたくさんやってくるんだと思うが,しかし今回のことでちょっとだけ賢くなれたんじゃないか.次はもっとうまくやれるはずだ.
根拠はないけどそんな気がする.