修論発表がついこの間終わりました.
「修論が終わったら食べよう」と思っていたお菓子がありますので,取り敢えずいただこうと思います.
きのこの形をしていますが,チョコレートです.包み紙は色違いがありますが味は1種類で,堅実なかんじの味でした.
クリスマスに英会話教室で配られる小さい舶来チョコみたいな味.オイシイネ!*1
食べ終わった後は部屋に飾ることもできます.カワイイネ.
スライド作成に苦戦した話
さて修論発表についてですが.
スライドを用意しないといけないんですよね.
最初のうち私は「スライドくらい余裕でしょ」と舐めてかかっていたのですが,実際にやってみると
文字サイズを大きめにしないといけない.そのため文章も切り詰めないといけない
口頭でしゃべる内容とスライドに映す内容が違う
自信ありげに喋らないといけない
そもそも私が Beamer に慣れていない
などなどあって強敵でした.
困ったポイントを具体的にひとつだけ挙げます.
TeX では参考文献を引用するときに, \cite
というコマンドを使います.これによって,citation.bib ファイルに予めしまっておいた書誌情報を引っ張ってくることができます.
しかしながら,この方法だとスライドには [1] などと文献番号だけが表示されてしまいます.投稿論文ならそれで良いのですが,スライドではまずいです.だって,聴講者は自分の好きなページを見るわけにいかないですからね.スライドで文献を引用する際には,(Hogehoge 2018) などのように,人名+発表年という形式にしたいところです.\cite
を使わずにすべて手作業でちまちま直すという方法もありますが,できれば一括で直したい.どうしたら良いのか___そんなしょうもないところで詰まっていました.
一応答えを書いておくと,natbib というパッケージがありまして,これを使えばよいです.
詳しく言うと,まずプリアンブルに
\usepackage{natbib} \bibpunct[:]{(}{)}{,}{a}{}{,}
と書きます.次に,\bibliographystyle
を natbib 仕様に直します.もとが plain
なら, plainnat
にしておきます.
後は \cite
を \citep
に置換すればOKです.
ネットで検索すると \citep
を使うというところまではすぐ出てきたんですけど,そもそもパッケージ natbib が必要だという情報がなかなか出てこなくて焦りました.修論スライドは余裕をもって計画的に作成しましょう.
イラストや図について
本番の修論発表についてですが,直前になって突貫工事でイラストをいくつか入れました.
仮発表のときに,**先生に「もっと絵を描かなきゃダメだよ」ときつく言われていたからなんですけど,絵を描くのってかなり面倒なので実際にやるまではやる気ゼロでした.でも実際にやってみたら意外と綺麗に描けて,先生からの評判もよかったですし大変に気をよくしました.ちょっとコツもつかめた気もしますし,これならもっとバンバン図を入れても良かったかも.
一般に,数学では図を描くのは大変であることが多いです.図なんか描きたくないというひとは,かつての私だけではないと思います.
たとえば TeX の Tikz を使って図を挿入しようなんてした日にはとんでもない目に遭います.
私は昔,数学者は綺麗な図を描くための専用のソフトウェアを持っているものだと思っていました.ただ自分がそれを知らないだけで,プロは便利なソフトを持っているに違いないのだと.そこで勇気を出して,図が非常に多い洋書の著者にメールで訊いてみたことがあります.
どんな文面だったかな….
Hey! I'm a Japanese student majoring in mathematics. Your books are great! Could you tell me how to draw figures in your books?
みたいなハイテンションな文章だった記憶があります.返事が返ってくるか不安でしたが,暫くしてとても丁寧な返事がきました.*2
いわく,「illustratorで描いているけれども,オススメはしない」.
……要するに「気合と根性」ってことですね.
これは昔の話なので今はまた違う可能性がありますが,「関数のグラフ」などの頻出図形を除くと,基本的に数学文書に挿入するイラストというのは気合と根性で描くしかないようです.代数多様体の概形とかならなんとかなるかもしれないですけど,グラフアルゴリズムの挙動を表す図とかになるとお手上げっぽいです.
今のところ私が思うベストな方法は「iPad と ApplePencil で手描き」です.GoodNotes という iPad 用のアプリがありまして,これはノートをとるためのアプリなんですけど,このアプリ内でちょっとしたイラストを描くことができます.*3文字を入れることはできないので,文字を手書きで入れるしかないのがちょっと不満なんですけどね.
私が知る限りでは,という話なので調べれば他に良い方法が見つかるのかもしれません.ご存じの方はぜひ私に教えてください.
感想
技術的な話はこのくらいにして,以下では修論が終わった感想を書こうかと思います.
終わってしまうと寂しいですね.
寂しいですし,私の院生活の収穫が確定されてしまったという悲しさがあります.
修論を提出する瞬間までは,私にもすんばらしい修論を書いて卒業するという可能性が残されていたわけですが,提出して発表まで終わってしまったからには現実と向き合わないわけにはいきません.私の修論は「あの程度のもの」だということは認めざるを得ない事実です.
学部を卒業して2年も数学を勉強(研究)する時間があったというのに,馬齢を重ねてしまった感じがします.学部卒業時と比べてかしこくなったかな?いやぁなってないなあ…….おいらは何をしてたんだろうなぁ….
特に相変わらず「人に頼るのが下手くそ」なのは,なんとかしていきたいです.
まあ終わったものについてうだうだ言っても仕方ないのでこれから何か(修論以外の)新しいことをやっていきたいですね.